「aiデータがあるから、すぐにぬいぐるみを作れるはず!」と思っていませんか?
実は、平面のデザインと立体のぬいぐるみでは必要な情報量が大きく異なります。
特にIllustrator形式の「aiデータ」だけでは形状や構造が不明なケースも多く、そのままでは制作に進めないことも少なくありません。
この記事ではaiデータをぬいぐるみ制作に入稿する際にチェックすべき5つのポイントを制作現場の視点からわかりやすく解説します。
なぜ「aiデータ」が必要なのか?
ぬいぐるみ制作では、生地(平面)に刺繍や印刷を施してから立体的に縫製します。
そのため刺繍機やプリント機で正確に図案を再現するためには、ベクター形式のaiデータが必要不可欠です。
これは紙の印刷物と似た考え方で「どこに何色をどう出力するか」を正確に伝えるために解像度の劣化がないaiデータがベストなのです。
なぜ「aiデータ」だけでは足りないことがあるのか?
aiデータは基本的に平面で作られたベクター形式のデータです。
しかし、ぬいぐるみは立体物であり「横から見たとき」「後ろから見たとき」の構造や厚み、丸みなどはaiデータからは読み取れません。
また、ぬいぐるみは縫製品ですので上手く縫製して立体的に仕上げる必要があります。
平面デザインでは簡単に見える部分が、縫製するには難易度が高く再現が難しいことも多々あります。
そのためデータ上ではシンプルに見えても実際の形状に起こすと不自然になってしまうことがあります。
入稿前にチェックしておきたい5つのポイント
1. 線のデータがアウトライン化されているか
フォントやパスがそのままになっていると、別のPC環境で開いたときにレイアウトが崩れる可能性があります。すべての文字・線は「アウトライン化」してから入稿しましょう。
2. カラーモードがCMYKかRGBか
印刷・制作向けのデータは基本的にCMYKが推奨されます。
ただしPANTONEでの色指定がある場合は、そちらを優先します。
入稿前にカラーモードの統一も忘れずに。
3. パーツごとの構造が分かるようになっているか
耳・手・しっぽ・胴体などパーツごとにレイヤーやグループが分かれていると、立体に起こす際に非常に助かります。
複数の要素が一つのパスにまとまっていると分解や確認に時間がかかる場合があります。
また、衣服などで隠れた部分に細工やマークなどがある場合は、衣服の有無バージョンも分けていただく必要があります。
4. 実寸サイズが明記されているか
どのくらいのサイズ感で作るのかが明示されていないとスケールが読み取れません。
「高さ30cm」など基準となる寸法が書かれていると非常にスムーズです。
5. 参考画像や完成イメージが添付されているか
正面図だけではなく、背面・側面・3Dイメージなどがあれば理想的です。
簡単なスケッチや完成予想図があるだけでも、すれ違いを減らすことができます。
「理想的なaiデータ」の特徴
– パーツごとに丁寧に分けられている
– 文字や線がアウトライン済みで崩れない
– 実寸サイズが記載されており、スケール感がつかめる
– PANTONEカラーで色指定されている(後述)
– PNGなどで完成イメージが併せて添付されている
なぜ色指定はPANTONEがベストなのか?
ぬいぐるみ制作における生地のカラーチャートは、すべてPANTONEで管理されています。
これは世界共通で、どこの工場・縫製現場でも同じ基準で色を再現できるため、色ブレを最小限に抑えられます。
「赤っぽいピンク」など抽象的な表現ではなく「PANTONE 2035C」など具体的な番号で指定することで希望通りの色が再現されやすくなります。
PANTONEが難しい場合でも、PNGなどの画像形式での色見本があると参考になります。
データを元にした制作の流れ(簡易フロー)
- aiデータ受領
- 制作側で構造・サイズ・色などを確認
- 必要に応じて追加ヒアリングやaiデータの修正依頼
- 校了したaiデータを元にサンプルを制作
- お客様にサンプルをご確認いただいた上で、必要であればサンプル修正対応
- サンプル校了→量産制作へ
入稿前でも、お気軽にご相談ください
「このデータで大丈夫かな?」
「まだ構成が固まっていないけど…」
といった段階でもお気軽にご相談いただけます。
実際に制作に役立つデザイン案やイラスト例は下記にてご紹介しております。
ぬいぐるみで「再現できるデザイン」と「再現できないデザイン」の違いについて
ぬいぐるみを制作する際に必要になるデザイン(イラスト)について
ぬいぐるみのデザイン作成にお悩みの方へデザインギャラリーを用意しました。
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